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■メキシコ小児癌治療滞在施設を訪ねて
 平成15年11月11日
 
 

3日間の合気道講習会を終えた翌日、私達はメキシコ小児癌治療滞在施設「カサ-デ-ラ-アミスタド」を訪れました。市内にあるこの建物は教会とし建設中であったものが予算不足から10年間途絶えていたものを、12年前に買い求め改築したものだそうです。
愛想のよい警備員にゲートを開けていただき中に入ると、Dr. 田中や幹部スタッフの方々が笑顔で迎えてくれました。現在スタッフは53名、ボードメンバーが50名、常時170名前後のボランテアがリストされているそうです。
この施設は12年前に日系メキシコ人のDr. 田中国武氏と奥様の洋子氏の呼びかけで発足したもので、現在は常時、子供50人その付き添いの親50人をそれぞれの個室に収容できる大きな施設となっています。メキシコ国内には小児癌専門の医師は30人程度と少なく、その殆どがメキシコシティー市内におり、まだ僻地の多いメキシコでは其の症状すら理解されていない例も有るそうです。加えて低所得、とても医療の恩恵を受ける事が出来ない子供が実に多いのだそうです。運が良く治療を受けるチャンスがあってもメキシコシティーまで出てこなければ成りません。このハウスはそういった親子を宿泊させ、病院への送り迎え、投薬、カウンセリング、遅れた授業の補習など、きめの細かい援助を与えています。
施設内を見学させて戴くため、受付を通ると夜行バスで到着したばかりの親子が疲労と不安からか小さく寄り合っていました。チリ一つ無い綺麗な建物の中には親子が案心して暮らせる細かい配慮がありました。洗濯場には洗濯石が据え付けられていました。「地方の人は洗濯機を信じないので」とDr. 田中は微笑みます。食堂では親子そろって食事を取る明るい風景がありました。私達も同じものを戴きました。ここではスタッフも訪問者も同じ食べ物を食べるのだそうです。栄養士が取り組むこのメニューは質素であるけれどなかなか美味しいものでした。施設の掃除などは親達が感謝の心を持って自主的に行なってくれ、子供達の補習には専門教師の他に大学生達がボランテアとして手伝うそうです。
どのスタッフの方々も慈愛に満ちた微笑をいつも浮かべ、私ですら心が熱くなるのを感じました。Dr. 田中、洋子御夫妻がたった12年間でここまで組織を作り上げた陰には多大なご苦労があった事は察して余りあるものが有ります。国の援助も無く、其の殆どはメキシコ企業や篤志家の寄付金によっ賄われているそうです。
治療費の払える家庭の子は勿論ここには来ません。バス代も払えない親子のために会社と交渉をしたり、もう治療の見込みの無い子供には親子一緒に「一番の夢」を叶えて上げる為「航空会社とすら掛け合うのです」とDr. 田中は言います。

メキシコ武産合気道場のフラナンダス先生、ロシオ先生夫妻がAHANと共催した今回の講習会は、こういった子供達がそして親達が、それを支える人々が存在した事によって、我々に更に大きな感動を与えてくれました。心から感謝を奉げるものです。この親子に更なる微笑が戻る事を祈るものです。有難うございました。

尚、施設へのサポートはwww.casadelaamistad.org.mx.に詳細があります。
この施設への寄付は上記HPにあるアカウントに送金して下さい。米国からの寄付金は非課税対象となります。皆様のサポートをお願いするものです。

日本館副会長
AHAN会長
                        エミリー・ブッシュ 記
        S.Y訳
※掲載する写真は施設側の承諾の上で撮影したものです。
 

長旅を終えて到着した親子

親子で楽しい食事


Dr. 田中夫人の洋子さんに甘える治療中の子供

Dr. 田中の説明を聞く本間館長、ブッシュ会長


コンピュータールームとボランテアの学生

クラスルーム


親子が一緒に寝れる個室

工作室


リネン室と奉仕の尼さん

チャペル


キッチンの広さに驚き

スタッフの皆様と


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